2017年12月19日、松濤本部で行われた講義の中で、チョ・ソンイル(趙誠一)氏はアフリカでの「大勝利」を宣伝しながら以下のように語っている。

「ザンビアで、族長たちを集めておいて祝福式を進めるのですが、祝辞として隣りの国のジンバブエの800万の信徒を持っているウンダンガ大司教を呼びました。ところでこの方が来て祝辞をするとき、祝辞をしに来たとき、啓示を受けます。神様から。何か。『祝福を受けなさい』というのです。それでここで祝福を受けます。3日間精誠を捧げたあとに。その一双のために祝福式をしました。お母様の許可を得て。そうした後にこの人が、『この祝福こそ、ジンバブエを生かすことができる道だ』と。この人がジンバブエの王子です。最近、その、何ですか? クーデターが起こって政権が変わったではありませんか。ムガベ大統領と現職大統領に、その当時の副大統領(の間の関係)を調整できるほどの強大な力を持っていた方が****(聞き取れない)です。ところでこの方が戻って祝福式を進めて、まだ数か月しか経っていません。5カ月しか経っていないんですね。これまで最高指導者たちを含めて何双を祝福したのか。2000双を祝福したのです。そして前回、11月10日に来てお母様の前で宣布しました。そのうちに『2万双、4万名の祝福式を準備します』と。ジンバブエの800万信徒のすべての教会人たちを祝福しますと。ですから今霊界が、私が考えたときにはお父様が、神氏族的メシヤ活動を置いて一生懸命するところには、役事をしてくださるのです…」

この、ジンバブエの800万名の信者を持っているという宗教指導者の名はヨハネス・ウンダンガ氏という。(ピースTVでは「900万信徒を保有しているジンバブエの使徒教会協議会会長であるヨハネス・ウンダンガ大司教」と放送)

▼インタビューに応えるウンダンガ氏

これまでチョ・ソンイル氏の嘘を続けて明らかにしてきたが、これまでの記事を読まれた読者は、これに関しても嫌な予感がすることだろう。問題は、彼がどんな人物なのか?である。

ジンバブエでは昨年11月15日にクーデターが起こり、1987年以来、独裁を続けてきたムガベ大統領が失脚した。これまでムガベ大統領は大量虐殺、強制収容、政敵への弾圧を通した不正な選挙などを行い、独裁を維持してきた。ウンダンガ大司教は、宗教指導者でありながら独裁政権に与する、ムガベ大統領の代表的な崇拝者であった。彼は神の名を借りて独裁者の支配を肯定してきた、典型的な権力寄生者である。2017年11月17日付の『ASIA NEWS』によれば、彼はクーデターが起こる直前まで「大統領に反対する者は、神の言葉に逆らう者である」「ムガベは私たちの王であり、王は神の力によって任命されるのであって選出されるのではない」とまで言っていた。

使徒教会協議会の定款は会長の任期を6年と定めていたが、ウンダンガ氏は任期を延長したばかりではなく、自分が終身会長になれるよう定款を変更した。これに不満を抱いた使徒教会協議会の事務総長をはじめとする一部のメンバーは使徒教会協議会を去って別団体を創設し、ウンダンガ氏を非難していた。使徒教会協議会創設時の幹部は、ウンダンガ氏しか残っておらず、他の幹部は既に全員使徒教会協議会を脱会している状況である。(NEWSDAY 2017.10.3掲載記事より) そして遂に2017年12月、使徒教会協議会は自称終身会長のウンダンガ氏を使徒教会協議会の定款を破った者として罷免した。(The Herald 2017.12.19 / Pindula News 2017.12.22) 面白いことに、チョ・ソンイル氏がウンダンガ氏のことを誇らしげに講義したその日である12月19日、ウンダンガ氏が罷免されたことがニュースになったのである。天は絶妙に役事されている。

ウンダンガ氏は、自身が支持した独裁政権がクーデターにより打倒され、自らの宗教団体からも信頼を失い、会長の座から追放された人物なのである。読者の方々がもしも家庭連合指導者の立場であったなら、このような人物をVIPとしてもてなし、セネガルでの大会(アフリカサミット2018)において代表祈祷を任せるだろうか?

このようなウンダンガ氏がお母様の前で、お母様を賛美したというのだが、いったい、そこにどれ程の価値、あるいは真実があるというのだろうか?権力に寄生してきたこれまでの彼の人生を通じた動機が何であったかを考える時、どのような方法で彼がお母様の前に連れて来られ、また彼がどのような動機でその場にやってきたか、読者の方々は悟ることができるのではないだろうか?

2017年12月30日の週刊ブリーフィングに、ウンダンガ氏は登場し、彼のコメントは二度取り上げられている。

「独り娘、真のお母様!平和の福音と復帰福音の創造者、真の父母様に感謝します。この期間は、本当に価値のある期間です。覚醒の時間です。真の父母様に感謝します!」「真の父母様は、単に霊的なことだけをされるのではありません。今、私たちは、真の父母様が“実践される父母”であられるということを知りました。“実践で勝利された真の父母様!”実践、実践、実践です!ジンバブエには一万ヘクタールの土地が用意されており、その地の所有者は全国にいる信者たちです。私たちは行動する準備ができています。」(12月8~10日アフリカ指導者カンファレンス)

彼はこのコメントをした10日後には使徒教会協議会の会長の座から追われるのであり、その一か月ほど前までは、ムガベ大統領の下で腐敗した独裁政権に寄生していたのである。このようなファクトを知った上で、上記のウンダンガ氏のコメントをどのように理解し、どのように信じるかは、読者の方々に任せることにしよう。

ちなみに人口1600万人ほどのジンバブエにおける純粋なキリスト教人口は130万人程度のようで、その他の土着キリスト教(部族宗教とキリスト教の混合)をキリスト教だとは見なさない見方もある。それらをキリスト教だと見なせば人口の半数程度となるが、すでにトップの座を追われたウンダンガ氏の影響の下に、その全てがあると考えるのは大袈裟すぎるだろう(チョ・ソンイル氏はウンダンガ氏を800万信徒の指導者だと紹介)。そもそも昨年11月のクーデターによって新政権の樹立と共に声明を発表した「ジンバブエ・キリスト教派首長委員会(ZHOCD)」には、ウンダンガ氏の名前もジンバブエ使徒教会協議会の名前もない。(2017.11.21 CHRISTIAN TODAY)

ウンダンガ氏が抱えていた信徒の数が重要なのではない。チョ・ソンイル氏が言うように、ウンダンガ氏を通してこれからジンバブエで2万双、4万名、さらには800万名信徒すべての人々が祝福を受けるという虚偽の報告がお母様と多くの日本の食口に為され、家庭連合が何の問題もなく発展しているかのような間違った船内放送を流していることが問題なのである。

これまでチョ・ソンイル氏がどれほど多くの嘘を言っているか、そして家庭連合中枢がどれほど腐敗しているかを明らかにしてきたが、ウンダンガ氏の件を見れば、「死体のある所には、ハゲタカが集まる」というイエス様の言葉がそのまま当てはまるのではないだろうか?

<参照>
外務省 ジンバブエ共和国基礎データhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/zimbabwe/data.html

日本大百科全書
https://kotobank.jp/word/ジンバブエ%28国%29-1550553

週刊ブリーフィング(2017年12月30日)
https://vimeo.com/249129054


2件のコメント

元アフリカ訪問者 · 2018年3月2日 9:43 AM

アフリカではよくある話。 土地、信者数云々などは話者の地位を誇張するときによく使う。
事実として、そのような力があったとしてもそのときのリップサービスが常。
教会も個人の自己顕示欲の宣伝材料として利用される。
それを真に受けてお父様にして報告した報告内容(忖度し、盛った)を日本人が真に受けてしまう構造は過去も現在も同じなのではないでしょうか?
そもそも日本人の感覚で受け止めてはいけない。

    hjnlove · 2018年3月2日 10:11 AM

    コメントありがとうございます。 『ブラッド・ダイヤモンド』という映画で、主人公がT.I.A(ティーアイエイ)とため息交じりに言っているのを思い出しました。”This is Africa”(これが、アフリカなんだ)の意味です。そもそも正義とか善とか、法のようなものを土台にした社会ではない、ということだと思います。しかしそのアフリカの感覚に付き合っていたら、それがアフリカの常であり、真に受けるのも日本食口の常だとしたら、み旨は進まないですね。。。

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