2021年6月17日、DC控訴裁判所「UCI訴訟」聴聞会で取り上げられた主な争点の要約
〜DC控訴裁判所は、係争中の訴訟において憲法修正第1条を支持するか?〜
Howard C. Self、Right to Believe(RTB、信じる権利)会長
はじめに
米国法律学の長い歴史において、「UCI訴訟」(公式名称は「Hyun Jin Moon, et al. v. Family Federation for World Peace and Unification International, et al.」- Case No. 20-CV-0715)は、米国憲法修正第1条をかつてないほどに最大かつ直接的に侮辱した事例です。コロンビア特別区控訴裁判所で判決が係留中ですが、法学部の学生は今後しばらくの間、そのような理由でこの訴訟を研究することになるでしょう。歴史上、米国裁判所が、特定の宗教団体(本訴訟では、宗教非営利団体UCI)に対し、非常に論争の多い宗教的分裂(ここでは、故文鮮明牧師が創始した世界的な統一運動の内部で起きた極めて不安定な宗教的分裂)に巻き込まれ、憲法修正第1条に直接抵触しながら、その宗教団体の「正しい」精神的指導者、「正しい」神学、そして、「正しい」組織構造を決定したという例はありませんでした。DC上級裁判所はそのような違憲判決を下した後、その宗教非営利団体の理事会の再構成を命令すると同時に、UCI理事会の現在のボランティア理事たちに総額5億ドルの罰金を課しました。DC*上級裁判所が下したこのような判決(10年以上の期間を経た後の判決)は、米国憲法制定者が憲法修正第1条で正確に叙述した宗教の自由という概念の本質を破壊する危険性を持っています。
(*編集部註:上級裁判所とはワシントンDCの第一審裁判所であるSuperior Courtの日本語訳。最高裁判所はSupreme Court)
米国憲法制定者たちは、宗教の自由は「すべての自由の中で最優先」であり、したがって神により与えられた良心に基づいた宗教の自由は、常に他のすべての自由の基礎となり、いかなる犠牲を払っても宗教の自由は保護されなければならないと当然考えていました。憲法制定者たちは、清教徒や他の人々が新大陸に行く過程であらゆる危険を冒したのは、まさに宗教の自由の追求のためだったということをよく覚えていました。今日、宗教的権利を保護しようとする指導者や団体もまた、この法的先例がもし許されるとしたら、すべての信仰者に大きな危険を与えることになると考えています。宗教的自由のためのベケット基金(The Beckett Fund for Religious Liberty)と宗教的自由のためのユダヤ人連合(the Jewish Coalition for Religious Liberty)は、全国の著名な10人の法学教授らに続いて、控訴裁判所に法廷助言意見書(amicus brief)を提出しました。これらの意見書はすべて、憲法修正第1条に基づき、本件を棄却するように求めています(下記リンク参照)。
信じる権利(Right To Believe)は、宗教の自由に対するこのような懸念から、この重要な訴訟と同訴訟の根底にある宗教的分裂を年代順に記録してきました。私たちは、それを続けるつもりです。読者にUCI訴訟とその根本にある統一運動の宗教的分裂について、できるだけ多くの情報を提供することが私たちの決意です。この訴訟と宗教的分裂は、ともに数多くの詳細情報と論争を含んでいるため、読者が自身の結論に到達するためには原本文書を自ら精読することをお勧めします。以下の裁判所のウェブサイトにリンクすると、原本文書を見つけることができます。
- 文顯進博士とUCIに対してFFWPUが提起した最初の法的訴訟(PDF)
- Laura Cordero判事による略式判決(PDF)
- Jennifer Anderson判事による救済策判決(PDF)
- 被告人理事(Dr. Hyun Jin Preston Moon、文顯進博士)の意見書(PDF)
- 被告人理事の答弁意見書(PDF)
- 法廷助言意見書、宗教的自由のためのユダヤ人連合及び宗教的自由のためのベケット基金(PDF)
- 控訴人UCI準備書面(PDF)
- 控訴人UCI答弁意見書(PDF)
- 被控訴人(FFWPU)意見書(PDF)
- 10人の教授の法廷助言意見書(PDF)
DC 控訴裁判所6月17日 聴聞会での基本的詳細事項
生放送の聴聞会に先立って、双方は訴訟におけるすべての主な主張を盛り込んだ長い書面意見書を控訴裁判所に提出しました。2021年6月17日、ワシントン D.C.控訴裁判所は、双方からの口頭弁論を2時間にわたり実施しました。次のリンクで、YouTubeに保存された聴聞会の全体を見ることができます:(ビデオを見る)。聴聞会は、2020年にDC上級裁判所のJennifer Anderson判事によって、UCIの被告人5名中4名(いずれもUCI理事会の理事たち)を理事会から解任し、原告のFFWPUIと共同で新しいUCI理事会の構成を求める衝撃的な救済判決が下された後、被告人の控訴要請に対する回答として行われました。さらにAnderson判事は、被告人が「いかなる個人的な恩恵も」受けていないという事実を認めたにもかかわらず、解任された4人の被告人に対して5億ドルを超える前述の団体罰金を科しました。Anderson判事は、被告人に対する憲法修正第1条の保護事項の多くに違反した2018年のLaura Cordero判事の略式判決を基本的に支持し従いました。
6月17日の聴聞会はCOVID-19を懸念してインターネットで行われ、YouTubeを通じて世界中の人々に向けて生中継されました。このようなストリーミング聴聞会は一般的に数百人の個人が視聴します。時には、判事の任命のように閲覧者数が数千人にも及ぶこともあります。6月17日の控訴聴聞会は控訴裁判史上前例のない 1万2000名余りが現時点までに視聴しました。この多くの視聴者数は、この訴訟の深刻さの度合いと同時に、現在グローバルな精神的指導者として文顯進博士が持つ存在感を示しています。(この事実を否定または無視するために原告と**下級裁判所の判事たちは多くの努力を重ねましたが、徒労に終わりました)
(**編集部註:下級裁判所とは控訴裁判所より下級の裁判所という意味で、第一審が行われたSuperior Court、つまり上級裁判所のこと)
3名の判事(Glickman、Deahl、Becker陪席判事)からなる陪審員は、UCI理事の被告人を代表する Michael Carvin弁護士、UCI組織を代表するDerek Shaffer弁護士、原告(FFWPUIなど)を代表するLaura Ferguson弁護士の弁論を聞きました。討論は非常に活発で、3人の判事いずれも双方の弁護士に対して鋭い質問をし、自分の見解も表明しました。実際、UCI弁護士Carvinの開会発言は、Deahl判事の鋭い質問によりわずか数秒で中断されました。これが聴聞会全体の雰囲気を決定しました。
2021年6月17日の聴聞会は、以下を含む幅広い問題を取り扱いました。
- 「統一教会」と「統一運動」という中心用語の定義(または定義の欠如)
- 統一教会の本質-特にそれがカトリック教会的な路線に沿って設立され、FFWPUIによって「指示される」一つの中央集権的階層的宗教機関なのか(原告側の主張)、またはそれが緩やかに結びついた団体の集合体なのか-つまり営利および非営利団体、多様な人道主義プロジェクト、企業、スポーツチーム、新聞社など、すべての団体が創立者文鮮明牧師の世界平和に対する共通したビジョンのもとに連合され、ますます大きくなっていく世界的かつ超宗教的運動なのか(被告人の主張)
- 統一教会のリーダーシップ構造(FFWPUIは実際にこの大規模な運動の「首長」なのか、それとも多くの非営利団体の一つなのか。 FFWPUIが統一運動を構成している多くの独立した理事会を管理することは可能なのか。原告が「FFWPUI」は「統一教会」と同じだと提案しているが、それは本当なのか。 驚くべきことに、この訴訟期間中にFFWPUIは自体の名称を3回も変更している)
- UCIから行われる寄付行為の宗教的目的の決定
- 系列及び非系列機関へのUCIの寄付パターンの履歴
- キングダム投資財団(Kingdom Investment Foundation)とグローバルピース財団(Global Peace Foundation)に対するUCIの寄付はUCIの目的に合致しているのか
- UCIは宗教的目的をどのように前進させ、誰がそのような目的を決定できるのか
- 統一運動自体は誰が主導するのか(統一運動における宗教的分裂の最も論争的な側面)
- 文鮮明牧師の生前、UCI及びその他の理事会に対して文牧師が持っていた権限の程度
- 「第4アダム」であり文鮮明牧師の後継者である文顯進博士の精神的指導者としての役割が持つ範囲と黙示的権威
- 文鮮明牧師の「教会時代の終焉」の指示から、統一運動内部で起こっている変化を反映するために、2010年に1980年のUCI定款原本の宗教的言語を修正することがUCI理事会の裁量に属するかどうか
- 定款の条項の宗教的言語が宗教性の低い言語や他の宗教的言語に取って代わられたりする程度
- DCの宗教非営利団体の理事たちが、同法人のための決定を行うときに、第三者の利害による影響を受けたかどうか
- その他の様々な問題
このリストを読むだけで、次のようなことが即座にわかります。1.このような問題のうち多くの部分が、全世界の統一運動における最も本質的な宗教的側面を扱っているため、憲法修正第1条により米国のいかなる裁判所もこれらの問題について決定を下すことが禁止されている。2.これらの問題は、現在に至るまで統一運動全体の宗教的分裂の核心であり、上記と同様に憲法修正第1条により、明らかに論争の余地がある本質的に宗教的な問題は、関連する宗教関係者が決定すべき事項である。つまりいかなる米国の裁判所もそれを決定できない。
統一運動及び上級裁判所の両方で文顯進博士に対してFFWPUIが使用した偽りのストーリーの要約
憲法修正第1条の保護について少しでも知っている人が、この聴聞会で提起された上記の宗教的テーマのリストを見たら、どうして上級裁判所の判事たちが相次いでこの訴訟を続けることができたのか知りたくなることでしょう。これは、同裁判所の判事らが原告の嘘のストーリーを全面的に「信じた(bought in)」ためにそのようにできたものと思われます。この嘘のストーリーは結局、原告側の首長(principal)である韓鶴子女史が法廷質疑において嘘であったという事実を認めました(下記参照)。
判事たちは、原告側の見解を基本的に自分自身の見解として受け入れながら、法的に絶対見過ごせない憲法修正第1条の考慮事項を無視した
原告側の嘘のストーリーは文顯進博士の名声を落とし、彼の組織のリーダーシップの役割と「第4アダム」という彼の精神的リーダーシップの地位を簒奪することを目標とする統一運動内の徒党グループによって最初に作り上げられました。徒党グループは韓鶴子女史(文顯進博士の母)、一部の腐敗した統一運動指導者、そして文顯進博士の3兄弟、弟ショーン(Sean、文亨進 ) とジャスティン(Justin、文國進)、及び姉タチアナ(Tatiana、文仁進)で構成されていました。徒党グループの努力は、文顯進博士が父親の真の後継者であることを否定し、文顯進博士をすべての葛藤の根源にするという核心的な嘘に集中しました。
原告側の嘘のストーリーでは、文顯進博士は主に不満と怒りと嫉妬に満ちた息子として描かれています。彼の弟のショーン・ムーン(Sean Moon、文亨進)が(FFWUPIの指導的立場を含め)いくつかの指導者の職責を受けた時、嫉妬心による怒りを持ったと推定される文顯進博士は、統一教会からUCI及びその他の機関を「盗み(stole)」、第4アダムと相続者になる資格を喪失したというのです。徒党グループは協力して努力を続けながら、多くの歪曲、欺瞞および露骨な嘘を含め、文顯進博士に対する悪意のある誹謗中傷の大虐殺(pogrom)を行ないました。このような邪悪な努力の中には、彼を「堕落したアダム」と表現し、すべての運動会員を対象に全国巡回講演を企画したことや、韓国でのある会議で80歳の文鮮明牧師と他の著名な指導者に先に提示され、その後、運動全体に広められた偽の霊界メッセージがありました。霊界から直接来たとされる偽のメッセージは、文顯進博士が持つ組織の指導者のすべての職位を末っ子のショーン(文亨進)に渡すよう勧告する内容でした。その後、このような制度的な変化が起きた後、「霊界メッセージ」の出所は統一運動の元北米大陸会長であり、文顯進博士に対抗した徒党グループの中心人物である梁昌植博士であることが認められました。文鮮明牧師と運動全体に対し文顯進博士に関するこのような嘘をつくことは、文顯進博士に対する組織的虐殺であり、これは数年間続けられました。運動内部で行われた彼らのキャンペーンの一つが、文顯進博士と同僚たちを相手に世界中で30件の訴訟を起こすことでした。このすべての訴訟は、根拠がないという理由で棄却されたり、10年目となるUCI訴訟を除いて、すべて文顯進博士側の完全な勝訴で終わっています。
上級裁判所では、文顯進博士がUCI定款の不法修正を命令し、FFWPUIの承認を受けていない団体に寄付を進めたという徒党グループの嘘が続きました。その時、文顯進博士は、UCI理事会に「不適切な影響力」を行使し、未承認の寄付とUCI定款の不法修正に賛成票を投じるよう強要したというのです。つまり、文顯進博士がUCI理事会が受託者義務を履行できないようにしたということです。明白になったように、この嘘のストーリーを成立させるには文顯進博士の「第4アダム」の役割を否定し、代わりに彼に「反抗的な息子」というレッテルを貼ることが重要でした。
この嘘に反論する証拠は圧倒的でした。もし、上級裁判所の判事たちが、被告側が提供した証拠に対して最低限の確認でもしていたら、原告側のストーリーの信憑性を完全に否定する多くの事実が分かったはずです。最も重要なことは、文顯進博士が文牧師の適法な相続者であるという事実でした。文顯進博士の父は1998年、文顯進博士を「第4アダム」として公開的に認めました。その後、文鮮明牧師はこのような事実を基に、統一運動内部で大々的な変化を起こしました。本質的に文顯進博士を中心に、運動の構造を再編したのです。例えば、文鮮明牧師は文顯進博士に全世界の48歳未満の統一運動の全構成員に対するリーダーシップの権限を与えました。文鮮明牧師はまた、文顯進博士に統一運動において最も重要な聖礼典である祝福結婚式を執り行う権限を与えました。文顯進博士は、彼の父親によってFFWPUI、UPF、CARPなどを含む運動内のすべての主要組織の指導者の地位に速やかに任命されました。文顯進博士は、10年間、父のビジョンと方向性に従って運動の改革を成功裏に導いてきました。まさにこの時、改革に反対して階層的な教会組織を再建しようとする徒党グループが、いくつかの組織を乗っ取り、文顯進博士に対する全面的な虐殺(pogrom)を始めたのでした。乗っ取りは、韓鶴子が組織から文顯進博士のリーダーシップの役割を簒奪し、第一段階としてこのような役割を3人の兄弟に委任することで成立しました。第2段階は、結局全ての組織のリーダーシップの役割が韓鶴子女史というただ一人の人物の下に、 彼女の計画によって集められるということでした。2012年に文鮮明牧師がこの世を去った直後、ショーン(Sean、文亨進)とジャスティン(Justin、文國進)は母親によってすべてのリーダーシップの役割から解任されました。徒党グループの嘘の核心-つまり、文顯進博士は相続者ではなく、ショーン・ムーン(文亨進)が相続者であること-これが捏造されたものであり、法廷での宣誓陳述でも繰り返し述べられてきたことが今や明らかになりました。証言台で韓鶴子女史は自分の末の息子であるショーン・ムーン(文亨進)が統一原理について「中学生」水準の理解しか持っておらず、決して相続者ではなかったことを宣誓して証言しました。なぜ彼にFFWPUIを任せたのかという質問に彼女は返答を拒否しました。
韓鶴子女史が文顯進博士を指導者の座から追い出し、父親の後継者としての文顯進博士の正当な地位を否定するために、兄弟を道具に使ったという事実が、今や明らかになりました。その汚い行動が遂行されるとすぐに、ショーン(文亨進)とジャスティン(文國進)は情け容赦なく捨てられました。捨てられた2人の息子の対応は、過激派の右翼イデオロギーと宗教を結びつけた、銃器を携帯する物議をかもす集団を作るということでした。(AR-15半自動火器は彼らが行った結婚式で中心となる小道具です)彼らはまた、直ちに説教壇とインターネットから最も強い言葉で母親を持続的に非難し、彼女とFFWUPIを相手取ってニューヨークで訴訟を起こし、彼女の最大の敵となりました。
図々しくもショーン(文亨進)が起こした訴訟で、FFWPUIは、UCI訴訟での彼らの立場とは反対の法的立場をとりました。つまり、ニューヨーク裁判所でFWWPUIは、統一運動内の継承とリーダーシップの問題は、憲法修正第1条の禁止により裁判所で決定できない問題だと主張しているのです。ところがUCI訴訟では、FFWPUIは自分たちが-すなわちFFWPUIと韓鶴子女史が-裁判所で統一運動の唯一の正当な指導者として認められるべきだと偽りの主張をしながら、ショーンの起こした訴訟でのショーン(文亨進)と同じ主張をしています。このような二枚舌が、ついに控訴裁判の段階でFFWPUIの足を引っ張ることになったと思われます。
「第4アダム」であり、文鮮明牧師の真の後継者という文顯進博士の精神的リーダーシップの役割に比べると、文顯進博士から彼らが強奪した組織のリーダーシップの役割はその範囲が非常に小さいです。文顯進博士は、徒党グループの残酷な攻撃の中でも、運動の核心的任務を継続して率いてきました。文顯進博士は20ヵ国以上で活動しており、2009年に受賞したグローバルピース財団(韓国市民社会団体から「最優秀NGO賞」)など影響力のある数多くの国際機関を設立しました。しばらくして、彼は妻の文全淑博士とともにグローバルピースウィメンという団体を共同創設しました。主要国際機関である家庭平和協会は2017年に設立されました。韓国で文顯進博士は2010年、歴史上最大規模の朝鮮半島統一のための市民団体「Action for Korea United (AKU)」を陣頭指揮し、世界的な運動を起こした「コリアンドリーム」のフレームワークを提示し、現在、朝鮮半島統一運動を導く原動力となっています。今日、AKUは、1000以上の非政府組織を含む組織です。2014年、文顯進博士はベストセラーである『コリアンドリーム:統一コリアへのビジョン』で韓国文化芸術出版賞を受賞し、引き続き一つのコリアを実現するためのビジョンを提示しています。
この一覧表は、文顯進博士が成し遂げた業績のほんの一部に過ぎませんが、文顯進博士が非常に有能でインスピレーションを与える世界レベルの精神的指導者であることは明らかです。原告が法廷で彼を単なる「反抗的な息子」と誹謗したということはとんでもないことです。
明らかに上級裁判所の判事は、証拠を調べたり憲法修正第1条を遵守するという自らの責任を果たせませんでした。責任を果たしたなら、彼らは原告の嘘を決して受け入れなかったでしょう。一方、控訴裁判所は特に憲法修正第1条が適用される細部事項にはるかに多くの関心を傾けていると思われます。
DC上級裁判所とDC控訴裁判所の違いは、特にUCI訴訟で目立っている
UCI訴訟がDC上級裁判所で10年以上(現在も継続中)の時間を費やしてきたのが、事実上、DC控訴裁判所では2時間の聴聞会で処理されたという事実以外にも、この分派的な宗教的訴訟を両裁判所が扱った方法には、多くの顕著な相違点があります。以下は、筆者の意見として、下級裁判所の判決が覆る可能性が非常に高いことを示唆する5つの違いです。
1.第3者法廷助言意見書の影響:上級裁判所と異なり、控訴裁判所は第3者の法廷助言(「裁判所の友人」)意見書を受諾しています。著名な宗教の自由の擁護団体である宗教的自由のためのベケット基金(The Beckett Fund for Religious Liberty)と宗教的自由のためのユダヤ人連合(The Jewish Coalition for Religious Liberty)が6月17日、聴聞会のために提出した意見書、そして10人の著名な法学教授および学者が作成したもう一つの意見書には、この訴訟には、憲法修正第1条への深刻な違反があり、それゆえに、宗教問題不審理の原則(religious abstention)を根拠として棄却されるべきだという共通の意見が述べられています。ユダヤ人連合及びベケット基金の法廷助言意見書の16ページには、次のように書かれています: 「第一審がこのような結論に到達したのは、法廷が宗教分裂に肩を持ってはならないという最高裁判所の度重なる訓戒を無視し、教会が『教理から逸脱したかどうか』を判定したり、特定形態の宗教的政治システムを他の形態より優先したりしたからである」
3名の控訴審の判事がこのような法廷助言意見書を無視することは不可能です。控訴審の判事が法廷助言者の立場に完全に同意するわけではないとしても、この意見書は被告人に対する憲法修正第1条の保護の問題に大きくスポットライトを当てています。2021年6月17日の聴聞会全般にわたって、弁護士と判事間の意見交換を見れば、このような憲法修正第1条の考慮が最優先事項であることは明らかです。この状況は上級裁判所で問題が処理された方式と反対です。
2.文顯進博士の精神的リーダーシップの役割を強く考慮している:上に述べたように、上級裁判所判事らは原告の虚偽のストーリーを全面的に採択し、統一運動の中で、文顯進博士が「第4アダム」として有する精神的リーダーシップの役割について考慮することを基本的に棄却し、原告らが統一運動の正当な指導者であるという枠組みを不当かつ盲目的に受け入れました。原告の虚偽のストーリーを受け入れることにより、明らかに裁判官が、FFWPUIが主張するように文顯進博士を「反抗的な息子」であるかのように考えて、そのように取り扱うことが容易くなり、憲法修正第1条の保護に注意を払うべきだという要求事項が縮小されました。控訴審の裁判官らは、文顯進博士の持つ「第4アダム」としての精神的・宗教的リーダーシップの役割について真剣に議論し、正反対の立場をとったものと思われます。
裁判官が判決を下すまでに、1年以上かかる可能性があります。その時までに判事たちは、ほぼ1万2000人の視聴者が6月17日の聴聞会を「接続して視聴して」いることを知ることになるので、文顯進博士が世界的に認められている宗教指導者であるという事実が確実にわかり、それゆえに憲法修正第1条のすべての考慮事項が文顯進博士と彼に忠実なすべての人々に当然適用されるべきであることがわかるようになるでしょう。
すべての問題を単に「反抗的な息子」に関するものと認識することと、神学、リーダーシップ、組織構造といった重大な事案をめぐる検討や論争が現在まで続いている宗教的分裂の渦中で実際に発生した法的、その他の問題を評価することという2つの顕著な違いが法廷で現れています。DC上級裁判所は財産紛争、軽犯罪などのような小規模の訴訟を審理することに慣れています。確かに上級裁判所では、数十万人の会員と数十億ドルが絡んだ世界的な規模の宗教的分裂が審議されるUCI訴訟のような非常に複雑な訴訟が扱われることは滅多にありません。さらに重要なことは、上級裁判所では、たびたび熾烈な論争が繰り広げられる宗教紛争における複雑な憲法修正第1条に関連する問題が扱われることは滅多にありません。上級裁判所の判事たちが「反抗的な息子」というストーリーを受け入れて、その話に基づいてすべての決定を下すほうがずっと簡単でした。それははるかに易しいですことですが、はるかに誤っており、かつ違憲的でした。文顯進博士が持つ実際の精神的リーダーシップの真実が、「反抗的な息子」という捏造された嘘を取り崩すことは必然的でした。
3.FFWPUIの弁護士は、嘘のストーリーによる制限で無力化した:上級裁判所に提出された嘘のストーリーの「公式見解」に従わなければならない必要性のため、そのストーリーは控訴裁判所ではFFWPUI弁護士のLaura Fergusonにとって「諸刃の剣」になったものと思われます。裁判官たちの質問に対する彼女の答えは、「予め準備された言葉(canned)」だけを繰り返しているように見えました。なぜなら彼女の答えは常に「反抗的な息子」というシナリオに帰結するストーリーに依存していたからです。一度の返答の中で、彼女は「彼(文顯進博士)は統一教会を嫌っている」と、それがあたかも確立した事実であるかのように、二度も言いました。このような単純で脈絡と無関係なアプローチが、上級裁判所では彼女の側に良い結果をもたらしましたが、控訴裁判所では彼女の主張に深刻な影響を及ぼしました。明らかに控訴裁判所の判事たちはこの嘘のストーリーを受け入れず、Fergusonからもっと合理的で明確な説明を聞きたかったのですが、それは嘘のストーリーの呪縛に陥った彼女が絶対に作ることができない説明でした。この問題の真実はついに明らかになりました。この訴訟が統一運動内で継続してきた歴史的・宗教的分裂の中で起こったものであるということです。憲法修正第1条によると、裁判所はこの運動のリーダーシップを決定する上で、単に勝者と敗者を選ぶことはできません。つまり宗教紛争において一つの派閥の肩を持ったりその正当性を認めたりすることはできません。
4.UCIの弁護士たちはよく準備しており、有能であった:上級裁判所での過去のUCI弁護士たちよりも、CarvinとShaffer弁護士は控訴裁判所において非常に強力で準備が徹底しており、有能であることを示しました。憲法修正第1条の保護が適用される領域を説明する時、特にそうでした。この宗教的分裂と本訴訟の双方における宗教的紛争の問題に関わる決定を必要とする問題が取り上げられた場合、重要な時点で両弁護士は、断固として、「それは、あなたが決めることはできない!」と述べました。UCIの弁護士であるDerek Shafferの言葉です。「あなたが本訴訟の中心になると示唆しているその質問は、まさに裁判所が決して答えられない質問なのです。謹んで申し上げますが、判事が1980年の定款と宗教用語およびすべての論争を調べて、それらから相当な逸脱があったという判断を、神学上の問題や宗教的リーダーシップの継承問題についての判定をすることなしに行う方法があるならば示してくださるようにお願いします。それが1980年の定款の変更事項に対する原告の批判の核心であり、それはまさにあなたが判定できないことなのです」
憲法修正第1条によると、裁判所はそのような決定を下すことができません。これらの点は、被告側の弁護士と控訴裁判官のいずれにも明白なように思われました。なぜなら、判事たちは不適切な判決を差し止めてほしいというUCI弁護士たちの口頭要請に決して反論しなかったからです。
5.統一運動の真の本質が認められたと見られる:上級裁判所の判事全員が、原告らの誤った主張と、統一運動を高度に組織化した「教会」と見る原告らの歪曲した見解を受け入れたという事実が明らかになりました。つまり、FFWPUIが「統一教会」と同じだという見解;UCIは、FFWPUIの指示に従うべきFFWPUIの下位団体であるという原告らの見解です。これに対して、控訴裁判所は、統一運動が階層的教会ではなくカリスマ的な霊性運動だという被告人の見解を傾聴し、これに信憑性を付与したように見受けられました。決定的な時点でDeahl判事はFFWPUI弁護士に、「しかしそれは、もしも統一教会、家庭連合が、1980年当時に統一教会として知られていたものの正当な後継者であるとした場合にのみに真実となるのであり、そうであるかを判断することは、私には根本的に宗教的な問題と絡むことであるように思われます」と述べました。
韓鶴子女史が開始し、持続的に論争になっている神学的変化は、今日のFFWPUIが文鮮明牧師が設立した統一運動を代表するものではないという事実を明確にするものです。むしろ今日のFFWPUIは非常に異なった種類のものであり、異なる宗教テキストのセット(文鮮明牧師の臨終当時、韓鶴子女史は文牧師の説教集の検閲と修正を依頼した)、異なる礼拝の対象(神に対して文鮮明牧師が使用した「天の父」という呼称をもはや使用せず、代わりに「天の母」の存在を主張し、二元論的要素を取り入れる)、さらには異なる名称(FFWPUIは2020年に公式的に名前を大々的に変えることを宣言し、現在「天の父母様聖会」と変更)を持っています。
さらに問題になるのは、FFWPUIは1954年に設立されたと主張しているということです。これは司法当局をだまして、FFWPUIが何らかの形でUCIを統制する存在だと思わせるようにしようとした完全かつ露骨な嘘です。文鮮明牧師が1994年に教会(HSA-UWC)の使命を果たしたと発表した後にFFWPUIが設立されたという事実をほとんどの統一運動会員は知っています。FFWPUIは再び嘘をついています。統一運動に不慣れな判事たちが単に原告側の嘘を信じて、自分たちに法的勝利を与えてくれることを望みながら、自分の歴史を書きかえています。控訴裁判官たちのさらに明確な調査の下で、それは非常に誤った期待のように思えます。
結論
前述した宗教の自由擁護団体と専門家の熱烈な法廷助言意見書からも分かるように、「UCI訴訟」は憲法修正第1条の類例のない誤用についての研究対象とされる法廷訴訟になると予想されます。10年が過ぎたこの訴訟はまだ終結からは程遠く(控訴裁判所の判決自体が下されるのに1年以上かかることも多い)、私の考えでは、結局長時間結論が出ないかもしれません。
しかし、すでにこの訴訟をめぐって、米国司法制度の改革が必要だという声が高まっています。UCI訴訟で見ることができるように、現在の司法制度では、宗教非営利団体の理事会でボランティアとして働いている無実で善良な男女が、第三者によって不当に法廷に連行され、そこで非常に費用がかかり、何年も続く過酷な訴訟に直面することが容認されているのです。そうした法的攻撃に対する弁護費用が数百万ドルに達する場合、裁判所への出廷そのものが大きな刑罰です。
第3者(FFWPUI)が、主要な精神的ライバル(文顯進博士)を個人的に中傷し、あわよくば破産させるために、そのような法的攻撃を自らの宗教的分裂の戦略の核心に据えた時には、状況はもっと酷くとんでもないことになります。文顯進博士に反対する徒党グループは、統一運動を乗っ取ろうという訴訟がらみの計略を遂行するために、莫大な公共資産(即ち、宗教目的で寄付された基金)を誤用しています。これは「不法資金によって統制される正義(justice)」であり、それは全く正義ではありません! 韓鶴子女史、FFWPUI及び/または彼らの同僚がすでに全世界的に文顯進博士とその同僚に対して約30件の不必要な法廷訴訟を提起したという事実に対し、上級裁判所では赤信号が灯されるべきでした。-つまり、FFWPUIが自らの邪悪な目的のために裁判所を利用しようとしたということです。UCI訴訟は、罪のない精神的指導者と彼の同僚に対する悪魔的な攻撃の核心部分に他なりませんでした。悲しいことに、その攻撃が今まで米国の裁判所の支援を受けてきたのです。このような露骨な宗教の自由の侵害は決して二度と起きてはなりません。第三者が非営利団体に対して、こうした欺瞞的で利己的な民事訴訟を提起するのを困難にするためには司法改革が必要です。憲法修正第1条と宗教の自由の神聖な保護が、我々の憲法上のすべての自由の礎として再確認されなければならない時です。
1件のコメント
cocoa · 2021年11月13日 12:18 PM
全てを取り払って見たとしても、母が息子を埋葬しようとする行為は理解出来ません。”宇宙の母”というタイトルが滑稽過ぎます。