本稿は先日の家庭連合の名称変更を受け、現状に警鐘を鳴らす思いで記した寄稿文である。これを通して、一人でも多くの方々が事の深刻さに気付き、天上においてこれを見つめられる真のお父様の胸中を、今一度、見つめ直す機会にして頂きたいと思う。

 ダウンロードして読む

新たな教団の誕生

4月4日―。この日の公文をもって、真のお父様が創設され、その間、愛し投入して来られた「世界平和統一家庭連合」(以下、家庭連合)は事実上、姿を消し、「天の父母様教団」として新たに生まれ変わることとなった。内心、大きな動揺を覚える食口も少なくないだろう。

しかし、その一方で、「名称くらいで大騒ぎすることはない」、「天の父母様教団も良い名称ではないか」と、臆面もなく語る人々もいる。無論、それは目下、教団指導部がこぞって聞こえのいい解説をし続けていることの成果なのかもしれない。しかし、数年前だったら、「そんなのあり得ない!」と思うはずの出来事が、少しずつ少しずつ「慣らされていく」ことで、「それもあり得る」に変わってしまっている―、そのことの恐ろしさに気付かないだろうか?

お父様の聖和から(正確にはそれより遥か前から)家庭連合は明らかに、お父様の願いとは異なる「新たな教団作り」に向かって歩を進めてきていた。前兆は既にあった。変化の兆しも見てとれた。しかし、教団本部の「巧妙なガイダンス」によって、そうした現実から目を逸らされてきたのが事実である。今回も同じなのだろうか?言わば、少しずつ少しずつ「地球の基軸」がずらされているのに、その危機的状況に気付こうとしない―。いつになったら目を覚ますのか?教団の姿を見つめながら、切実な危機感を覚えてならない。

 

経典が変わっても…

2012年、お父様の聖和後―。お父様があれほどまでに生命視され、「一点一画たりとも手を加えてはならない」[1]と言われた「天聖経」改竄が、お母様の号令一下、白昼堂々と進められるようになった時、一部の食口たちは疑念を抱きつつも、決してそれを口に出すことはしなかった。当時、そのことを本気で危惧し、問題を提起したのは、皮肉にも、「お父様のもとを離れた」と言われ、「分派」と指さされていた者たちだった。

教団本部はそうした声を退け、次のような解説をしながら食口たちを諭した。「新たな天聖経は『増補版』であって、お父様が残された八大教材教本が中心であることに変わりはない。」 しかし、数年も経たぬ間に、「(新)天聖経」「真の父母経」「平和経」の3冊が「天一国の三大経典」と呼ばれるようになり、事実上、八大教材教本に代わる、教団の中心的経典とみなされるようになった。違うだろうか?

また、教団本部はこうも説明していた。「御言編集の取り組みは、『お父様の御言』をより良いものとして後世に残して差し上げたいというお母様の心情の発露であって、どこまでも『お父様の御言』を整理したものである。そのメッセージが損なわれた訳でも、新たな内容が付け加えられた訳でもない」

しかし、実際、お父様がお母様を叱責されたくだり等は「御言選集」から綺麗に削り取られ、「平和経」では、お父様のメシヤ性のみを強調した部分が削除されている。[2] また編集時、天聖経よりも重要とされた「真の父母経」には、お父様の御言ではない、「お母様の御言」が多分に加えられていることは周知の通りであろう。ちなみに、お母様が最初に製作を指示されたのは「真の父母経」であり、その指示はお父様が「入院中」に出されたものだった。これはいたずらな批判でも、感情論でもなく、事実である。

 

教義が塗り替えられても…

2014年7月、初めてお母様が「独生女」について語られた時、教団本部の教理研究院は、これを即、「お母様の無原罪誕生」として解説することを躊躇ったという。[3] なぜなら、そのセオリーは、自分たちがお父様から学び、理解し、解説してきた内容とは明らかに「違って」いたからである!事実、韓国の教理責任者が日本を訪れ、このことを力説した折、日本本部の教理に携わる者たちはこぞってこれに反対した、ということも知られている。

しかし、お母様がこれを明白に語られるようになった時、彼らは手の平を返すようにしてそれまでの説明をすり替えた。あたかも、「最初からそうであった」かのように…。「お母様はお父様同様、生まれながらにして無原罪である。真の父母になる女性は生まれながらにして無原罪でなければならない。」 

もしそうであるなら、イエス様の時代、その相対として準備されていた洗礼ヨハネの妹も無原罪だったと言うのだろうか?また、第一、第二のお母様も無原罪だったのだろうか?もし、そうだと答えるなら、「お母様が6000年ぶりに誕生した神の独り娘である」とする御言とは明らかに矛盾することになる。また、もし、そうでないと答えるなら、お父様の過去の聖婚が「本来的でなかった」ものとなり、「誤った結婚」をしたことになる。お母様の無原罪誕生説―。それは教理研究院がどんなに智恵を絞り、お父様の御言を切り貼りし、巧妙に取り繕おうとも、そもそも成立し得ないセオリーでしかない。元よりそれはお父様が語られたことではないからである![4]

 

信仰の根幹が揺るがされても…

さらに、お母様は「お父様に原罪がある」とする発言までされている。教団本部はこれを「無かったこと」にしようとし、あらゆる証拠を隠蔽した。あたかも、かつて2009年に、お父様の御言選集までも回収し、手を加えて再配布した時のように。[5]

「お父様・有原罪発言」は分派・反対派によってでっちあげられたデマだとして吹聴され、事実を述べた者たちに無実の罪を被せてきた。しかし、お母様の口からそのことを聞いた者たちがいるのは事実である![6] どうして「あったこと」を「なかったこと」に摩り替えることができようか?人は欺けても、天は欺けないだろう。我々の信仰の根幹が揺るがされているのである!

無論、教団本部の指導者たちはバカではない。「お父様に原罪がある」等とされれば、食口たちにどれほど混乱が生じるかも心得ているのだろう。その間、お母様に発言の「自制」を求める彼らの努力は成功してきたかのように見える。しかし、お母様は最初から一貫したことを語って来られた。今さら、それを隠し通すことができると本気で思っているのだろうか?

「血統転換、私は母胎からだ。…イエス様の仕事を継承したその時、その瞬間がお父様は独り子の資格だ。…これまでの二千年歴史は独り娘を探し出してきた歴史だ。」[7]

「人類のうち、神様を父と知って生まれた人は私ただ一人。二千年前のイエスキリストと。」[8]

「南韓におられたお父様に、天は北へ行けと言われた。それが何の意味か分かりますか?絶対信仰、絶対愛、絶対服従だ。独り子の位置を探し出す過程だ。独り子ではない。」[9]

なぜ事実を見つめようとしないのだろうか?

なぜ事の深刻さから目を背けようとするのだろうか?

お母様を守るため?食口たちを守るため?教会組織を守るため?自分自身が信じてきたものを守るため?それは果たして、本当に天情なのだろうか、それとも人情なのだろうか?

これまでの数年間の舵取りは、言わば、お母様・独生女を中心とした「新たな教団」作りに向けた布石であった。お父様が今、地上におられたら、本当にこうした名称変更を許されたと思うのだろうか?8年前、お父様の指導を仰ぎながら歩んでいた頃の「あなた」だったら、今の教団を見て、「恐ろしいまでの違和感」を覚えるのではないだろうか?

いい加減、目を覚まして頂きたい!

 

 

お問い合わせ先
yuusinokai2016@gmail.com

これまでの記事をまとめて読む
https://align-with-god.org/blog/

天宙史的葛藤について調べる
https://align-with-god.org/knowing-hjn/

 


[1] 「…『天聖経』に手出しするなというのです。歴史的環境だとか仮版を作って説明することはできるとしても、これに手出ししてはならない」(2004.12.3) 「先生が書いたみ言の中に誰かが新たに何かを手直しするのを願いません。その内容が何故このようになったのか知らないのです。知らないで手直しして、後であの世に行って万民の前で審判されかねない讒訴条件に引っ掛かるというのです。(2005.4.26)

[2] 「平和神経付録・霊界報告書」等は削除箇所の一例であろう。「文鮮明先生の血統を分別し聖別してメシヤとして送るまで、神様は超緊張の歳月を送った(p8)」「今日、メシヤの使命を果たす為に再び来られた方は、文鮮明先生であられる。その方がまさに再臨主であられる。(p9)」「成約時代の主人公は文鮮明先生であり、その方が再臨のメシヤであるからである(p10)」

[3] 関係者の証言から。また、今年、明るみに出た2014年当時の「御言研究室」による金榮輝先生宛のお伺い書を見ても、教団本部がお母様の発言について問題意識をもっていたことが分かる。https://drive.google.com/open?id=1bOsa9NkwZ4zO9ZqUZvSWdxDaZtw4XPnI

[4] お父様の御言によれば、エバはアダムのような「無原罪誕生」ではなく、アダムによって生み変えられる立場にあったことが分かる。「イエスはマリヤを通して生まれましたが、エバが生まれるのには、そのような原則はありません。エバが僕の立場に蕩減復帰しようとすれば、イエスがアダムを復帰完成した後に、イエスによって創られなければならないというのです。元よりエバはアダムによって創られたので、復帰したエバもアダムに代わるイエスを中心として創られなければならないのです。」(1971年1月1日)「今までの救援摂理はアダムを再創造する歴史です。…血筋を清めたその男が、アダムに象ってエバを創ったので、女性に出会って血筋を清める仕業をなさなければなりません。アダムがエバの言葉を聞いて血筋を汚してしまったので、エバを絶対服従させ、血筋を清めなければならないのです。」(2000年6月30日)

[5] 2009年4月以降、御言選集594~615巻はいったん回収され、編集された上で再配布された。削除箇所の例は下記の通り。ちなみに9月以降は御言選集の発刊自体が中断されている。「あなたたちが、何、先生が原罪があるのか、ないのかと言うことができません。…それ以前まで掘り下げて先生が原罪があるのか、ないのかということを自分たちが決定できますか?意味のないことをしています。」(608巻276ページ)「では先生が行く場の玉座が2席なのか?アボジが座る席は一つしかありません。オモニの席もありません。オモニの席も一緒にあると考えています。オモニを再創造しなければなりません」(614巻24ページ)「女性を娘として育て、妻を作らなければならず、次に母を作らなければならず(中略)…それを誰かに任せられないので、私が最後までオモニを育ててそのようにしなければなりません。」(607 巻310-311ページ)

[6] 2016年12月30日、430家庭以上の先輩家庭婦人食口の集いにおいてお母様は「お父様は独生女に出会って原罪が清算された」「お父様は私(お母様)に出会う前に結婚してはならなかった」という旨の話を語られ、参加者はそれを直接聞いている。

[7] 2014年7月1日、天正宮集会、https://drive.google.com/open?id=1_aBnK8zjomz6BjyXGxeLtpuUG-1PrDZ8

[8] 2017年3月29日、公職者集会 https://drive.google.com/open?id=1yv7qV9p6UammYUa-Rvj8otoDcZh_eFlx

[9] 2019年7月25日、釜山教会、①金鍾奭氏による解説 (13:11~) https://drive.google.com/open?id=1ylsP9k1L79vrCcc7K-tUATcS_qAeCoZb

②Peace TV (2:46~) 上記の指摘部分は見事にカットされている。 https://www.youtube.com/watch?v=x51WdlztoZ8&t=300s

その他の資料:https://align-with-god.org/seeking-truth/tokusennyo


0件のコメント

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です