(本稿は先日の家庭連合の名称変更に危惧を覚え、そこに警鐘を鳴らそうという趣旨で書かれた有志の寄稿文である。前回の「家庭連合の変貌―いつ危機に気付くのか」に続き、第2弾を紹介する。)

 

お母様を中心とした摂理

前回記したように、家庭連合はここ十数年を通して、明らかな「変貌」を遂げた。お父様からお母様を中心とする体制へ。今回の名称変更はその結実と言えよう。今、お母様の掲げるビジョンや教えがお父様と同じではない、と感じている食口は少なくない。元より、「お父様とお母様の一体感」を自然に感じることができる状況であったなら―それは我々誰もが願ったことだった―、教団指導部がここまで躍起になって、「お父様・お母様が一体であることを信ぜよ」などと連呼する必要もなかっただろう。

ある人々は言う。「お父様とお母様が “ 違う ” ことがそんなに問題なのか」と。確かにお母様は、お父様が推進しておられたピースカップを廃止し、北朝鮮の事業から手を引かれ、宣教師団を解団し、水沢里の地を売り払った。しかし、その分、二世の士官学校を作り、奨学金制度を設け、平和活動に貢献した人々に賞を与え、食口が訪ねる清平聖地を大きく拡張させた。「だから、摂理は進展しているのではないか」と言う。

また、「独生女」信仰に教理的矛盾があろうと、今やアメリカの牧師たちの中にもこれを受け入れる人々が生じ、アフリカでは独生女、真のお母様を迎えて祝福に与(あずか)ろうとする「国家的動き」まで興ってきている。教団内の報道には事実の歪曲や誇張があるにせよ[1]、何千名規模の祝福行事や大会の様子を目の当たりにしながら、教理や神学の問題などは「小さな問題」に過ぎないのではないか―と捉えるケースも見受けられる。しかし、果たしてそうなのだろうか?

 

神の摂理とは?統一運動とは?

二千年前、イエス様は御旨の本質を見つめようとしない弟子たちに向かって、こう問いかけられた。「あなたがたは何を見に荒野に出てきたのか?風に揺らぐ葦であるか?…柔らかい着物をまとった人か?きらびやかに着かざって、ぜいたくに暮している人々なら、宮殿にいる。では、何を見に出てきたのか?」

改めて皆さんに問いたい。我々は何を見つめ、何を信じ、何を成そうとして、この運動に生涯を捧げてきたのだろうか?豪華絢爛な聖殿を見たいなら、そうした教団はほかにある。より大規模な平和運動を行っている団体なら世の中に五万とあるだろう。では、我々はこの運動に何を見出したのか?それは「生きた神の御旨」であろう!そしてその神の御旨とは、「真の家庭」に始まる人類一家族の理想ではなかったか?統一運動が他と異なるのは、「真の家庭」を語ったことにある!そのことの意味を、もう一度、思い起こして頂きたい。

「メシヤ」とは誰か?神が最初に抱いた本来のみ旨、「真の家庭」を打ち立て、それを全人類に広げる真のアダムを言う。「真の父母」とは誰か?本然のアダム・エバとして、「真の家庭」の伝統を確立し、それを子々孫々に受け継がせていく人類の父母を言う。「祝福」とは何か?「真の家庭」に結実した神の愛と生命と血統とを、全人類に接ぎ木させることを言う。[2] イエス・キリストの再臨の目的は何であったか?それは地上に「真の家庭」を立て、実体的救いの道を開くことであった。

復帰時代とは、「真の家庭」を探し立てるまでの時代を言い、成約時代とは「真の家庭」が立ったことで幕を開け、その「真の家庭」の基盤を、祝福を通して全人類に広げていく本然の時代を言う。[3] 氏族メシヤとは、拡大された「真の家庭」の一員として、祝福を通して、周囲に「真の家庭」の文化と伝統を広げていこうとする摂理的使命であった。

統一運動とは即ち、「真の家庭運動」に他ならない!もし、その本質を見失ったなら、どれほど信徒数が増えようと、どれほど大規模な集会を行い、きらびやかな建造物を建てようと、それが神の御旨と何の関わりがあろうか?

 

独生女信仰がもたらす弊害

原理と摂理の観点から見るなら、真の家庭が失われた瞬間、神の摂理はそこで潰えてしまう。真の父母の勝利圏も、祝福の摂理も、氏族メシヤも、立ちどころにその根拠を失ってしまうだろう。しかし、今語られている「独生女」の教えは、「真の母」さえ見つめていれば摂理には何の支障もないかのように誤導し、真の家庭の深刻な課題から食口たちの目を逸らせ、真の家庭の価値や理想まで見失わせてしまった。

かつて、お父様が語られた「独生女」[4]とは、「本然のエバ」を意味していた。それは人類の前に、神の真の娘、真の妹、真の妻、真の母としての先例を立てる立場を言う。それは即ち、「家庭」という脈絡の中で語られるべきものだった。本然のエバの立場を「四位基台」で見るなら、それは、神様に愛し侍る真の娘であり、夫を愛し支える真の妻であり、子女たちを愛でかき抱く真の母である。

しかし、お母様が語られる「独生女」とは、何を意味するのか?それは「無原罪誕生を果たしたエバ」である。それが「真の家庭理想」と何の関係があろうか?そのセオリーは原理的に間違っているばかりでなく、「真の母」の本質的な意味をも歪め、その価値を損ねてしまっている。

真の母の価値とは、「誕生の起源」にあるのではなく、真の夫婦となり、父母となり、「真の家庭」を築いていく中にある。お母様の勝利も、神様を慰め、お父様を支え、子女様と全人類をかき抱く、神の娘としての、妻としての、母としての歩みにあったのではなかったか?かつてお母様の口を突いて出る言葉は常に、「ご自身の証し」ではなく、「お父様の証し」であった。聖霊とは、イエス様を証しし、イエス様を高め、イエス様に人々をつなぐ立場を言う。それがかつてのお母様の姿だった。決して、ご自身を「お父様と同等」とされ、「お父様に育てられたことはない」と語るようなお母様ではなかった[5]。独生女の信仰は、お母様ご自身をも蝕んでしまっているのだ…。

もし、お母様の語られる「天の父母様」が、お父様の言われる神様であるなら、その摂理の中心軸は「独生女」ではなく、「真の家庭」であろう。もし、お母様がお父様と御心を同じくされているなら、発せられるメッセージは、「独生女に仕えよ」ではなく、「真の家庭を実現せよ」であろう。もし、お母様が進めようとしていることが、本来の統一運動と同じ方向性だとするならば、何よりも強調すべきことは、「真の家庭の理想」でなければならない。違うだろうか?

独生女信仰の問題は今や教義や神学の問題にとどまらない。その教えは今、食口たちから「真の家庭」という概念を奪い、本来の「真の父母」像までをも損なわせている。あなたは「独生女の教え」が広がることによって、神の摂理が進んで行く、と、本気で信じているのだろうか?今、お父様が生涯をかけて築かれてきた基盤が、「真の家庭の理想」が、独生女信仰という新たな信仰によって「塗り替えられて行っている」ことに気付かないだろうか?

 

「真の家庭運動」から「独生女教団」へ

繰り返すが、統一運動とは、「真の家庭運動」である。そして、成約時代にあって、この「真の家庭運動」を推進するために立てられた摂理的機関こそ、「家庭連合」に他ならない。

これまで、お父様が創設された機関の名称には、常に「摂理的意義」が込められていた。世界基督教統一神霊協会(Holy spirit Association for the Unification of World Christianity)とは、神霊により世界のキリスト教を一つに結ぶ協会であり、世界平和統一家庭連合(Family Federation for World Peace and Unification)とは、世界の平和と統一を目指し、家庭を連合していく機関であった。しかし、「天の父母様教団」からは、こうした摂理的意義が見出せない。

そもそも、お父様はこれまで、教団や教会(Church)を作られたことなどなかった。2008年の「統一教」への名称変更は、お母様の支持のもと、七男様が掲げられた名称であって、お父様が付けられた名称ではない。お父様にとっての組織や機関とは、神の摂理を果たすための手段であって、自らを崇拝する教えや教義を広めるための基盤などではなかった。

顯進様は言われる。「最も大切な摂理機関は真の家庭である」。それが神の理想の出発点であり、天一国の基点となるからである。

去る4月4日、「天の父母様教団」への名称変更を知らせる世界公文に、次のような文言が記されている。「神様の願いは…天の父母様となり、個人、氏族、民族、国家、世界が、神様を父母として侍る、神個人、神氏族、神民族、神国家、神世界になるようにすることでした。[6] 違和感を覚えないだろうか?個人と氏族の間にあるべき「家庭」という言葉がない。神の願いが結実する「家庭」というものを、ここから外した理由は何なのだろうか?

今回の名称変更をもって、旧・家庭連合は名実共に、「真の家庭運動」であることをやめ、「独生女教団」となった。あなたは今後の生涯、本当に「天の父母様教団」の信者として生きていくことを選択するのだろうか?あなたの子どもたちを「天の父母様教団」の子どもとして育んでいきたいと本気で思うのだろうか?(つづく)

 

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[1] 去る100周年の記念行事にトランプ米大統領が祝辞を送ったとして教団はこれを大々的に発表したが、後日、それが100歳を迎えた米国市民なら誰でも申請できる公共サービスであることが分かった。教団報道におけるこうした例は枚挙にいとまがない。(教団が発表した祝辞の文面は、とある老婦人が公開していた大統領からのメッセージと一語一句同じ:https://www.wafb.com/2019/05/22/president-trump-sends-birthday-letter-year-old-woman-denham-springs/

[2] 血統転換を「真の父母」に接ぎ木するものと理解している信徒が少なくないが、正確には「真の家庭」に接ぎ木することを言う。「…メシヤの使命はそこで終わるのではありません。の父母の位置まで進み、絶対的の家庭を探し立てなければなりません。このの家庭を中心として、神の創造理想を完成した地上天国と天上天国を創建することができるのです。この目的のために、堕落の後裔である60億人類は、その誰も例外なく、メシヤのの家庭に接ぎ木されなければなりません。絶対的要件です」(2004.12.2)

[3] 「私は今日、人類の最初の真の家庭の完成を、皆様の前で宣布することができたことを無上の光栄と思います。(中略) 皆様も真の家庭の血統に象徴的に接ぎ木されて、共に理想国家と理想世界建設のために、先頭に立ちましょう。これが正に、成約時代の幕開けを意味します。」(1993.9.14、韓総裁「真の父母と成約時代」)

[4] お父様は独生女を、本然のアダムの相対となり「真の母」となる立場として語られているが、どこまでも「無原罪誕生」ではなく、アダムが堕落圏から復帰し再創造する立場として説明されている。天国に入るためには、独り子が出てきましたが、堕落は男女が血筋を覆したものなので、独生女が必要です。独生女はどうなるのか?アダムの体からあばら骨を抜いて女性を作ったので、独り子はエバを再創造しなければなりません(2005.01.14)」

[5] 「私を教育した人は誰もいない。独生子(独り子)と独生女は同等だ。独生子が独生女を教育したとは言えない。」(2014.10.27 天正宮・世界指導者特別集会)

[6] 4月5日の徳野会長の解説映像。上記の指摘箇所は2:18~2:47。世界公文は勿論のこと、会長メッセージを発信するにも担当部署がチェックを入れる訳であって、たまたま「家庭」という言葉が抜け落ちてしまった等という可能性はまず考えられない。https://youtu.be/6Xv_0CiJmYM?t=138


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