去る9月7日、世界平和統一家庭連合(以下、家庭連合)は、国内における日刊紙13社に、MBCの報道番組(=家庭連合の問題を特集)に対する反論を掲載した。
信徒の献金問題が取り沙汰されているこの時期に、推定5億ウォンにも上る莫大な費用を投じて全面広告を打つことからして理解し難いが、その主張に見られる問題回避の姿勢と、諸々の責任を他に転嫁しようとする露骨な態度に、改めて驚きを禁じ得ない。
ここでは、幾つかの主要な問題点について、簡潔に言及したいと思う。
1)MBCに対する批判と論点の摩り替え
家庭連合は次の3点を挙げながら、MBCをはじめ、日本のマスコミ報道に対する批判を展開している。しかし、ここには、著しい論点の摩り替えと、問題の矛先を他に向けさせようとする明白な意図が見て取れる。
第一に、家庭連合は昨今の家庭連合に対する報道が、一部の反対派や左翼思想家の主張だけを取り上げた偏向報道であり、宗教弾圧であると指摘する。確かに、統一運動の歴史や教義、宗教そのものに対する理解を欠いた報道もある。また、家庭連合及びその友好団体と少しでも関わりをもった全ての政治家を「魔女狩り」のように追求していく様は常軌を逸しているようにも思える。
しかし、マスコミ報道のすべてが偏向報道であり、宗教弾圧なのだろうか。良識ある論者たちは「信教の自由」は尊重すべきだと述べている。問題視しているのは「反社会的行為」であって、行き過ぎた集金活動である。信徒に借金をさせて家庭連合の建物を立てている、といった状況に異を唱えているのではないか。
過去、家庭連合信徒が被った「拉致監禁」は確かに深刻な人権侵害であり、それを後押ししてきた関係者の蛮行は許されるべきではないだろう。しかし、その問題と家庭連合による献金被害は別の話である。論点を摩り替え、自らの問題を棚上げするのは、責任回避以外の何物でもない。
第二に、家庭連合はマスコミ報道が「検証されていない事項」や元信者による「歪曲された主張」を取り上げているとして批判している。もし本当に事実と異なる、というのであれば、家庭連合側から積極的に事実を公表してみてはどうだろうか。毎月、どれだけの献金を募り、どれだけの海外送金をしているのか。家庭連合が把握している自己破産した信徒は何人いて、借金を抱えている信徒は何人いるのか……。
過去、家庭連合に属していた私たちからすれば、マスコミ報道で挙げられている情報のほうが、よっぽど事実に近いように思えてならない。「09年以降は無理な献金はしていない」「そもそも献金目標(ノルマ)など与えていない」「霊感商法は今も過去もない」…。家庭連合の主張こそ、明白な虚偽情報ではないのか。
家庭連合曰く、信仰を辞めた「元信者」の主張は歪曲された主張であり、信仰を続けながらも組織に反した者は「分派」の主張だから信憑性がないと言う。しかし、少なくとも、組織防衛ばかりを考える家庭連合の主張よりも、真実に近いのではないだろうか。
第三に、家庭連合はマスコミ報道が、信徒の貴い献金行為を、強制・強要による否定的なものに貶め、信徒を冒涜している、と反駁している。確かに、献金とは、神の摂理に貢献しようとする思い、また神の恩恵に対する感謝として、天に自らの礼物を捧げる、貴く美しい行為に違いない。誰も、献金行為そのものを貶めているのではない。家庭連合内の献金においても、献金に込められた信徒の真心や誠意を否定することなどできないだろう。
問題視しているのは、生活を困窮させ、子女の教育費を削り、家族を不幸に陥れるような献金の在り方であり、それを容認し、さらには推奨するような指導の在り方である。
本来の献金の在り方をしていたなら、なぜここまで、被害者という人々が後を絶たないのだろうか。一体どちらが貴い宗教行為である献金の価値を損なわせてしまっているだろうか。
最後に、「献金は透明性をもって使用されていた」と記されている。家庭連合の食口が聞いてもそれが事実とかけ離れていることであると首を横に振ることだろう。それこそ、韓国本部周辺からは数々の公金横領の噂が絶えなかった。韓国では指導部の不正腐敗に対する裁判も起こってきた。適切な調査を求めたい。
2)米国UCIに対する虚偽と責任転嫁
家庭連合はMBCへの反論としながら、声明文の後半以降を、全く本論と関係のない米国UCI財団に関する言及に充てている。それこそ、家庭連合に対する世論の矛先を他に向けさせようとする、責任転嫁の目的以外の何物でもないだろう。
UCIに関する家庭連合側の虚偽については、既に以前の記事、「【検証】顕進様はUCIの資産を盗んだ泥棒か?」(https://align-with-god.org/blog/archives/1749)で明らかにしたが、ここでは改めて、声明文に記された虚偽について指摘したいと思う。
第一に、家庭連合は、世全界の献金先であったUCI財団を、郭錠煥氏とその一族が占拠したと主張するが、これこそ、韓国家庭連合の指導部が文総裁を欺き、長年、信徒たちを扇動するためにでっち上げてきた虚偽のストーリーに過ぎない。
郭錠煥氏自身、2009年1月に理事を辞職して以来、UCIとは何ら関わりをもっていない。家庭連合がその事実を知らぬはずもないだろう。また彼らは、郭氏一族がUCIを通して蓄財してきたような印象操作をしているが、そもそも、UCI財団は設立以来、朴普熙氏・朱東文氏、両理事長のもと、30余年で32億ドルにも及ぶ赤字経営(浪費的な出資)を続け、ここに日本教会からの献金が充てられていたのが事実である。
この状態が改善され始めるのは、2006年に文顯進会長が理事長に着任されてからであり、年間数千万ドルずつ赤字幅を減額させていったことで、むしろ、日本教会の負担額は軽減されていったのである。
第二に、家庭連合は、郭氏一族がUCI理事会を掌握し、公的資産を処分し、これを私有化したと主張するが、公的資産を我が物にしようとしたのは、韓国指導部のほうだった。詳細は上述の記事(https://align-with-god.org/blog/archives/1749)に記されているが、彼らは文顯進会長の改革を恐れ、既得権を守ろうと、文会長をあらゆる立場から放逐して行った。
UCI理事会を掌握する試みに失敗した指導部は、無理にでも、文会長をUCI理事長の座から引きずり降ろそうと、2009年半ば、日本教会をはじめとするUCIへの資金提供を全額ストップ。突然起こってきた経営難を打開するために、使用していない施設と赤字幅の大きな不良企業を整理した途端、家庭連合は「勝手な公的資産処分だ」と声を挙げ、文会長への批判を煽り、しまいには訴訟へと発展させて行った。
ちなみに、十年にわたるその無益な法廷闘争の結果、原告・家庭連合の訴えは悉く退けられている。
第三に、家庭連合は、文顯進会長の現在の取り組みが、公的資産を略奪して実施している偽装平和運動だと批判しているが、一体、どの口が言うのか、と問いたい。現在、信徒無理な献金を求めつつ、純粋な平和運動でもない、教団のプロパガンダのための祭典と建築プロジェクトに奔走している自らの在り方を見つめ直してみていただきたい。
本来、文鮮明総裁が願われたのは宗派や教派を越えた平和運動であって、心ある信徒たちはそうした高尚な理想とビジョンのために献金を捧げてきたのである。文顯進会長は家庭連合に責任をもっていた当初から、そうした統一運動の精神を尊びつつも、日本教会の献金問題を危惧され、これを終わらせようと考えておられた。
日本信徒からの血の献金で赤字を埋め合わせようとする腐敗した企業体質を立て直して経営を正常化させ、同時に、公益的な活動を発展させていくには、信徒の献金で資金を賄おうとするのではなく、その活動の平和と繁栄のビジョンをもって、志を共にする人々からの投資を募るべきだというのが文会長の考えだった。今、文会長が展開している平和運動は、正にそうした形で、決して信徒ではない、社会の心ある人々によって支持され、支えられている。
こうした取り組みを「偽装平和運動」と呼ぶなら、それは、高尚な志をもって文会長を支えている人々に対する侮辱であり冒涜ではなかろうか。社会からこれだけ問題を指摘され、批判されても、自己を反省することを知らず、マスコミが問題だ、社会が問題だ、誰が問題だ、と責任転嫁ばかりをし続ける今の在り方に、神を知り、信仰を持つ者として、恥を知っていただきたい。
同時に、こうした教団の在り方に、最も傷ついている人々が、この教会のために身を捧げ、純粋に信仰し続けてきた信徒であることを忘れないでいただきたい。信徒を大事にする思いがあるなら、社会に対して間違いを認め、心から反省の意を表し、教会の改善を社会に、そして信徒の皆さんに約束していただきたいと思う。
家庭平和協会の声明文
下記は韓国において、韓国・家庭連合の声明文を受け、一早く発信された韓国・家庭平和協会の批判文になる。宗教人口の大きい韓国内での文章であり、特に家庭連合に向けた文章となるため、宗教的・神学的概念が多分に含まれるが、祝福家庭の皆様にご一読いただきたい。
*家庭平和協会(Family Peace Association)
2017年12月に、文顯進会長が創設した超宗教団体。神中心の家庭を通した平和世界の実現がモットー。宗教が教えてきた「メシヤ」とは、崇められるべき神的存在ではなく、神の願いを叶える神の子女(息子)であり、人類の前に正しき先例(模範:特に理想家庭のモデル)を立てる者だと捉える。メシヤの先例にならい、全人類が神の子女となり家族となり、平和世界の基となる理想家庭を実現することを目指す。
より深く真実を知りたい方は、以下の動画を御覧ください。(概要欄の目次のリンクをクリックすると途中から見ることもできます)
0件のコメント