統一運動の堕落を決定付けた事件は、2009年8日韓国江原道ソクチョでの事件です。

読者の皆さんの中には、文顯進会長に対して、「どうしてお父様が願ったように1年活動休止しなかったのか」とか思っておられる方もいるでしょう。文顯進会長旧統一教会幹部を叱責する、強いイメージを持っておられる方もいるでしょう。そうした様々な躓きの思いの多くが、ソクチョ事件を見るなら乗り越えられるかもしれません。なるべく簡略に、事件追いたいと思います。

郭錠煥先生の本、「事必帰正では、213ページから223ページに書いてある事件です。

米国統一教会取締役会事件

ソクチョ事件は、文顯進会長に対して文鮮明師が激怒し、1年の活動休止を命じた事件です。文鮮明師がなぜ激怒したのかというと、「顯進ニムが勝手に、米国統一教会の取締役を変えた」という報告を幹部から受けたからです。(ちなみに、米国統一教会というのは、UCIとは違います。米国統一教会とは米国で教会活動だけをしている団体のことです。

しかし、これは文鮮明師を激怒させるために、幹部のついた嘘でした。

これを説明するためには、文仁進氏のことから説明しなければなりません。文仁進氏は、文鮮明師が他界してから、不倫をしていたことと不倫の子を産んでいたことが明らかになりましたが、米国統一教会取締役会事件の頃は、そんな不祥事を抱えていたことなど、ほとんど誰も知りませんでした。

文仁進氏は、2008年の半ばまで、文顯進会長に反発して統一運動を離れていました。その文仁進氏を世界会長となった文亨進氏が、2008年7月29日、米国統一運動の会長として任命する公文を出しました。つまり、文顯進会長に対する敵対感情を持っていた姉を、文顯進会長に対して対抗する位置にする公文を出しました。

この時、文鮮明師は、文仁進氏は祝司長(牧師)であると認識していても、米国の責任者にしたとは思っていませんでした。

2008年8月21日、文仁進氏は米国統一教会の取締役を、自分の息のかかった人たちに変えました。つまり、米国統一教会の法的掌握に動きました。

2009年2月初め、文鮮明師は「仁進は米国統一教会の会長ではない。誰がそんなことを言ったのか?」と怒りを表しました。当時の金大陸会長は、文鮮明師との間で、文顯進会長が米国の責任者であることを確認しました。

文鮮明師から、米国統一教会取締役を元に戻すように言われた文顯進会長は、文仁進氏が解任した取締役を元に戻そうと決意しました2009年2月23日、まず、文仁進氏に会って、父の意向を伝え、協力を要請しました。しかし、文仁進氏は協力せず、文亨進氏と文国進氏との連携に動きました。文亨進氏と文国進氏にとって、文仁進氏は文顯進会長を陥れるための刺客のような存在だったはずです。

文鮮明師の願う通りに米国統一教会取締役を元に戻そうとした文顯進会長の試みは、幹部によって、文顯進会長が権力掌握のクーデターを起こしたかのように、文鮮明師に報告されました。

対立の構図

この事件の流れを見る時に、読者の皆さんは、兄弟同士の争いと解釈するかも知れません。それは全体を捉えているとは言えません。

韓鶴子夫人は、文亨進氏を家庭連合の世界会長にしたのは自分だと法廷で言っています。また、韓鶴子夫人が布教している独生女の教えを思い出してみてください。独生女の教えは、文鮮明師の教えと対立する教えです。

その対立する考えは、文鮮明師が他界した後で生じたのでしょうか?韓鶴子夫人が昔からどのように考えていたのかを示している金振春氏の講義を見るのなら、他界する前からの対立だったのがわかります。韓鶴子夫人は「自分が話すことができず、自分の考えをずっと胸に抱きながら、50年間も待ってこられた」と言っているではないですか?https://align-with-god.org/blog/archives/1813

つまり、対立の構図は、父と母、そして、文顯進会長と養子である幹部を含めた兄弟姉妹達です。

このような図にすると、「お母様を批判している」と、統一教会の幹部の方達は言うかも知れませんし、「お父様は全て知っていた」と言うかも知れません。

でも、批判されるべきは、図の右下、つまり、彼らを代表とした、統一教会の幹部とリーダーです。これは、この「統一運動とは」と「統一運動の堕落」の、この二つのシリーズの中で繰り返し書いてきたことです。

また、ソクチョ事件は「お父様は全て知っていた」のではないことを明らかにしていく事件です。

お父様は全て知っていた?

ソクチョ事件の序章である米国統一教会取締役会事件を見ただけでも、次のような疑問が湧きます。

1.「お父様は全て知っていた」のなら、なぜ文鮮明師は「仁進は米国統一教会の会長ではない。誰がそんなことを言ったのか?」と怒りを表したのでしょうか?知らなかったからではないのでしょうか?

2.不倫は深刻な罪であると教えていた文鮮明師が、文仁進氏を祝司長(牧師)にしたのはなぜでしょうか?不倫をして不倫の子まで産んだ文仁進氏を、教会のリーダーから外すことがなく他界したのはなぜでしょうか?知らなかったからではないのでしょうか?

文鮮明師が、全てわかっていたのではなく、幹部の報告で右に左に動いたという例は他にもあります。

2009年か2010年だったと思いますが、文鮮明師がイーストガーデンで、ワシントン・タイムズなどを担当していた朱東文氏に向けて、「顯進が持って行った$7ミリオンを取り戻せ」と熱心に語っていたのを見ていたことがあります。その$7ミリオンは、使途不明金に見えたらしく、そのお金の報告を文鮮明師にしたのは朱東文氏だったらしく、しきりと文鮮明師は朱東文氏に語りかけていました。

実際には、そのお金は、文仁進氏の夫が巨額の投資に失敗し、離婚の危機にあったのを救うために、文鮮明師に報告の上で、使われたお金でした。しかし、文顯進会長がお金を不正使用したと思い込んだ文鮮明師は、郭錠煥先生を電話で叱りつけました。しかし、文仁進夫妻の危機を救うためのお金だったとわかると、その件に触れるのはピタリと止ったということがありました。

実は、文鮮明師が何でもいつでもどこでもわかるわけではないというのは、近親者、特に家族なら知っていることでした。ところが、教会員はほとんどの人が、文鮮明師が「何でもいつでもどこでもわかる」神様のような人だと思っていました。その信仰は、幹部に利用される信仰観でした

メシアとはアダム的人物であり、人間です。アダム的人物に神様が願ったのは三大祝福の成就です。それが原理であり、メシアを神様のような超人として信じるようになったのは、2000年前のパウロの信仰観からであり、それは原理でないを、文鮮明師は教えました。原理講論の中心的テーマです

1945年からの摂理で、キリスト教のリーダーが文鮮明師を受け入れられなかったのも、この信仰観が大きな原因でした。ゆえに、世界基督教統一神霊協会として、キリスト教徒に伝道して再出発しようとして書かれた原理の本も、メシアを神格化する信仰観を正すことに焦点が当てられました。

しかし、統一教会では、キリスト教の信仰を手本として見る傾向があり、ほとんどの人が文鮮明師は「何でもいつでもどこでもわかって間違いをしない」超人と信じられていました。近親者は、そうではないことを知っていたとしても、「そうではない」と正そうとするのなら、多くの人の信仰が壊れてしまうかも知れないほど、原理講論で教えていないことを、教会員は信じていました。

韓鶴子夫人は、ほぼ統一教会の中で育って生きてきた人です。文鮮明師のお子さんたちに信仰の教育をしたのも、統一教会の元老の方達です。その教育は、「メシアは、人の目を見れば全てがわかる」とか、父親を神格化したものでした。しかし、家族は、そうではないのがわかります。それが葛藤となりました。もしも、神格化してメシアを信じようとするのなら、文鮮明師は、そのモデルに合致しませんでした。この葛藤は、韓鶴子夫人にもあったはずです。金振春氏の講義がそれを物語っています。

文鮮明師のお子さん達の中で、原理的メシア観を理解して、信仰することができたのは、文顯進会長だけだったのかもしれません。

原理的にメシアを理解しないことは、不信の源を生みました。その不信の原因となる神格化されたメシア信仰は、韓国で初期に入教した方達から始まっており、対立の構図の中で、赤い枠で囲った幹部を初めとするリーダーの方達は、そのメシア観教育の実りのようなものと見ることができます。問題は、初期に入教した方達には純粋さがあったものの、その方達の子女が教会内で育ってリーダーになるにつれて、教会内政治に触れて育ったリーダーには、純粋さが失われたことです。それが顕著に現れたのがソクチョ事件でした。


より深く真実を知りたい方は、以下の動画を御覧ください。(概要欄の目次のリンクをクリックすると途中から見ることもできます)

統一運動の分裂の真相と神の摂理に生きる道 Part1

▶ 統一運動の分裂の真相と神の摂理に生きる道 Part2


2件のコメント

· 2022年10月11日 1:29 PM

そのお金は、文仁進氏の夫が巨額の投資に失敗し、離婚の危機にあったのを救うために、文鮮明師に報告の上で、使われたお金でした。
⇨お父様が叱責されたお金となると、そのお金は公金だったのでしょうか。離婚の危機を回避するとは言え、公金を使うとは解せません。

お父様の近くにいた人達ほど(真の家庭や側近)、メシアが普通の人間である事が分かり、真の家庭(お母様やご子女様)はそのギャップに苦しみ、側近達は自らの保身と野望の為にお父様や真の家庭を利用した。お父様が、お母様やご子女様を教育しても側近達が改変し、また側近達が教団内で政治的思惑で活動する中で、その思考や欲心をお母様やご子女様が影響を受けたのでしょう。
側近らは同様な方法を用いて食口を欺き、多額の献金の為に霊感商法や高額献金を用いてきたのでしょう。
お母様やご子女様が、心情的にお父様に躓いて側近の言葉になびいたのだとしても、お母様や子女様もそれを選択した責任はあると感じます。
何故なら顯進はその様にならなかったからです。

    daichi · 2022年10月12日 12:02 PM

    https://align-with-god.org/seeking-truth/kwak/ch3-9-8

    こちらが、郭先生の『事必帰正』の本の中の、「700万ドル横領事件の真相」という節になります。
    仁進氏の家庭のプライベートな問題に関することだけではなかったため、お父様の許可をとり、700万ドルの公金をUCIから使用したということのようです。

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