ソクチョ事件は終わりの始まり
文鮮明師が生涯を通して深く尊び仕えた方は、神様です。文鮮明師の数々の祈祷文にそれが現れています。文鮮明師にとって、神様は自分のために利用できるお方ではありませんでした。祝福家庭の態度も同じであるべきで、「神様と真の父母様に侍り」と家庭の誓い2番にある通りです。
しかし、祝福家庭は、神様と文鮮明師を自分のために利用することもでき、利用する時に、祝福家庭と統一運動は堕落します。そして、神様と文鮮明師を自分達のために幹部が利用した事件が、ソクチョ事件です。
「堕落」と言うと、実はちょっと弱い表現なのですが、言い換えれば、「終わり」です。取り返しのつかない過ちです。それがソクチョ事件です。ここでは、簡単に書きますが、もっと詳しくは、郭錠煥先生の本、「事必帰正」の216ページから223ページに書いてあります。
ソクチョ事件の裏側
「第二王信仰へ堕落させたのは誰?」(https://align-with-god.org/blog/archives/1836)という記事の最後に書いたように、2009年の初め、文鮮明師は、文顯進会長に、世界巡回しながらGPHA (Global Peace Home Association)を組織するように命じました。この組織を作ることができていたのなら、家庭連合も含めて、全ての組織は、このGPHAの下に入り、その全体を文顯進会長が指導する体制になったはずでした。
この組織的転換を防ぐために、偽の霊界メッセージを用いて文顯進会長を除去しようと、統一教会幹部によって仕組まれたのが、ソクチョ事件です。文顯進会長は、文鮮明師に2009年1月に願われたツアーを始めていましたが、3番目の訪問国の台湾で、文鮮明師は文顯進会長を韓国江原道ソクチョに召喚しました。
文顯進会長は、ソクチョにいたリーダーから「今ここで顯進ニムを謀反者として追放し除去しようとする計画が推進されています」という連絡を受けていました。しかし、それでも、文顯進会長は父の願いに従ってソクチョに向かい、3月8日の朝に到着されました。
文鮮明師は、米国統一教会の取締役変更を勝手にして反逆を企てたと、幹部から報告を受けていました。ソクチョには、文先生の御家族、幹部達、400名の日本からの修練生が集まっていました。
人民裁判というのがあります。裁判する前から有罪が決まっています。その人民裁判を思い起こせば、ソクチョで用意された場面がどれほどのものか想像できるかも知れません。
文鮮明師は文顯進会長が到着すると、「霊界のメッセージを読もう」と言われて、2つの霊界メッセージを読ませました。一つ目は、文孝進氏からのもの、2番目は「訓母様のメッセージ」と呼ばれるもので、「霊媒者である訓母が霊界から受けた内容を整理した霊界報告書」と説明されました。
「訓母様のメッセージ」の内容は、統一教会の組織図に対する提案でした。文亨進氏を相続者として任命し、文顯進会長はその下に置き、子女達は必ず韓鶴子夫人を通して文鮮明師の前に出るという組織図でした。
しかし、実際には、これは霊界のメッセージでもなく、訓母と呼ばれていた金孝南氏が書いたものでもありませんでした。読むことを拒んで会場の外にいた金孝南氏は、
「私が書いたものではありません。」と完全否定しました。
「訓母様のメッセージ」は、梁昌植氏が書いたもので、「その報告書はお母様の依頼で私が作成し、金孝律氏の監修を受けてお母様にお伝えしたものです」と梁昌植氏が告白した様子が、「事必帰正」の222ページに出てきます。「訓母様のメッセージ」は、読んだことがありますが、とても人間臭いもので、天からのものではありません。
当時、文鮮明師は、文孝進氏の急逝に心を痛めていました。「私は神様と霊界の啓示のみを信じる」と周辺の人たちに繰り返し語られていたそうです。その文鮮明師の心理状態を狙って、文鮮明師が教会内の組織体系を、変更する決定をさせるための策略が、この霊界メッセージだったと理解できます。
そして、「訓母様のメッセージ」が読み終わると、今度は、韓鶴子夫人が「訓母様のメッセージ」にあるように、組織を変更するように、次のように文鮮明師にたたみかけました。
「最終的なことはお父様がされますが、霊界から見ていること、今メッセージを通して見ると、余り残りのない2013年に向けて、お父様の生前に……。お父様が秩序を正してくだされば……」
韓鶴子夫人が「訓母様のメッセージ」を梁昌植氏に書かせたことを思い起こせば、上記の韓鶴子夫人の言葉はとても大胆です。
「事必帰正」には、文鮮明師が完全に「訓母様のメッセージ」が本当の霊界からのメッセージであるかのように信じきった様子が描かれています。そして、文鮮明師が組織を変更し人事をするのなら、今度は、それが文鮮明師の絶対的命令に変わるのでした。
このパターンは繰り返されたものです。どんなに間違った情報に影響されて文鮮明師が語ったとしても、一度語ったのなら、それが「お父様の御言」に変わるのです。そして、後日、文鮮明師がそれを打ち消したとしても、その打ち消した言葉は、教会内では伝えられません。
「爆破者」宣言文を文鮮明師に書いてもらうように韓鶴子夫人がお願いするときに、「食口達は、お父様が言わないとわからないので」と、文顯進会長を非難するように説得している場面を、御記憶の方もおられるでしょうが、同じパターンだったと思われます。
「霊界報告書で人民裁判をされるのですか?」
このソクチョでの出来事の日、文顯進会長が、米国でクーデターを起こしたかのように完全に信じていた文鮮明師は、「米国理事会変更の件に加担してきた人たちの責任を問うて解任する」と語られ、文顯進会長の意見を聞きました。
文顯進会長は沈黙していましたが、霊界メッセージが偽物であるのは見抜いていました。天を恐れず、どこまで下劣なことをするのか、と思ったとしても不思議ではありません。激しい思いに韓国語がまともに出てこない中で、以下のように語りました。
「あきれ果てるようなことであっても、お父様を見て耐え、かわいそうなお父様を助けるために世界に向けて旅立ちましたが、そんな息子を整理したければそうしてください。どうしてこうした霊界報告書で人民裁判をされるのですか。ここにいるこの人(そのメッセージによって免職された指導者)たちが私の人たちですか。まさにお父様を尊敬しながら従ってきたお父様の人たちではありませんか。彼らは位置に就こうとして従ってきたのですか。首にするなら私を首にしてください。私が全責任を負って退きます。」
沈黙の後に出てきた言葉は、免職された指導者を守る言葉でした。そして、文顯進会長は外に出ました。
文鮮明師によって会場に呼び戻された文顯進会長は、既に霊界メッセージが金孝南氏によって書かれたのではないのを知っていました。しかし、最初から結果の決まっている人民裁判のような場で、ただ耐えました。文鮮明師は、文顯進会長に「一年間休め」と言われました。
霊的牢獄
神様と文鮮明師を自分達のために利用したら堕落すると書きました。霊界メッセージを捏造して、文鮮明師を操り、長子を排除しようとしたら、それは「終わりの始まり」です。それは暗闇の中の世界です。そのような人たちが上に立つ中で、発表された偽霊界メッセージの組織図に従い、一年休んで文鮮明師と共にいることは何を意味したでしょうか?それは、父子そろって罠にハマって捕えられ、牢獄に入れられるようなものでしょう。
2009年、文鮮明師が朝の訓読会で、「目を閉じればサタンが出てくるから、昨晩は一睡もできなかった」と言われたことがありました。様子はおかしく、訓読の間も居眠りをされました。牢獄とは、物質的なものだけではありません。霊的な牢獄というのがあります。
ソクチョ事件から1年もしない2010年1月、私は、文顯進会長が「お父様の生命が基元節にかかっている」と涙が止まらない姿を見ました。そして、「お父様のために」、御自分が勝利圏をつくらなければならないと強く語る姿を見ました。その会議ですら、金孝律氏によって、「お父様がもうろくしたから自分が取って代わる」と言っていると文鮮明師に報告され、文鮮明師は体調を崩すほど激怒されました。
牢獄から父を救えるのは、長子だけでした。でも、父にすら、その子の思いは伝わっていませんでした。
より深く真実を知りたい方は、以下の動画を御覧ください。(概要欄の目次のリンクをクリックすると途中から見ることもできます)
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