はじめに
以前、当ブログに掲載した、独生女信仰の間違いを指摘する記事に、最近あるひとつのコメントが入った。その記事はお母様の無原罪誕生を批判する金榮輝氏の文章を掲載したもので、コメント投稿者のAさんは独生女論(お父様には原罪や悪い尻尾がある、お母様は無原罪の独生女)を支持する立場でコメントされた。
せっかくコメントして下さったAさんには、ここで批判的に取り上げることを、最初に謝罪しておく。家庭連合の食口の方々に深く考えていただくためにという意図でこの記事を準備したので、お許しいただきたい。
ここでAさんのコメントの全文を引用することは避けるが、関心のある方は、次のURLから記事の下のやや長めのコメントを参照していただきたい。
https://align-with-god.org/blog/archives/1170
コメントを読んで、読者の方々はどのように感じられるだろうか。すでに家庭連合と距離をおいて久しい筆者は、まったく考えられない信仰観で、頭がクラクラした。
また家庭連合に所属しながらも昨今の報道を深刻に受け止め、家庭連合指導者の記者会見での説明や態度に違和感を覚えている食口の方々も、首を傾げる方が多いのではないだろうか。
一方で家庭連合で熱心に信仰する食口においては、似たような信仰観の食口も少なくないのかも知れない。
このシリーズではAさんのコメントを参考に、家庭連合の信仰が、どのように統一原理の教えからズレてしまっているのか、そしてどうして社会からは到底受け入れられないものになっているのかを、何点か指摘したい。
そもそもAさんは「お父様には原罪や悪い尻尾があり、韓鶴子女史は原罪なしの独生女」の独生女信仰に賛成のようなので、その点がおかしいのは言うまでもないが、そのあたりは論じ尽くしているので、今回はそれ以外の点に触れることにする。
その1:白黒思考による信仰的独りよがり
まず、このコメントは2022年10月12日に入ったものである。安倍元首相の襲撃事件が起き、家庭連合に関する批判的報道が連日行われ、3ヶ月が経とうとする時である。
社会的な観点から見れば、霊感商法の被害者や、家庭連合の家庭内での被害者である「元二世信者」の悲痛な声が連日、報道で取り上げられる中にも関わらず、Aさんのコメントからは家庭連合自体のあり方や、自分たちがこれまで歩んできた道を反省する様子が、一切見受けられない。
報道でも、「統一教会に入信すると『善か悪』、『神かサタン』という、極端な発想しかできなくなる」と言われている。筆者自身は自分自身について、「そんなこともないが・・・」と心の中で思ったのだが、Aさんのコメントを見ると、当てはまっているように思えてしまう。
家庭連合に対する社会の評価や指摘を一切無視し、「何にしても稀有な時代に生まれ、反対派にも回らず、ちゃんと原理が真理であることを理解出来たことは本当に稀な事でした。真の父母による祝福を授かったのですから、今はお母様を信じて行こうではありませんか。」と、非常に満足げである。
通常、「社会の評判」とか「利用者の声」、あるいは「クレーム」というようなものは組織を映す鏡であり、自らを改善するために不可欠なものであるはずだ。昨今の報道にある被害者たちの悲鳴のような声を聞きながら、家庭連合の一員であるAさんは、どうして上記のような気持ちになることができるのだろうか。
真の父母様は「善」であり、その真の父母様の作られた家庭連合という組織に所属し、反対派にもならず、ましてや祝福を授かった自分たちは、やはり「善」である、反対する者はすべて「悪」である、という白黒思考を持っていなければ、なかなか出来ない発想のように思えるが、どうだろうか?
どんなに世間から非難されても、真の父母様に従っている自分たちは救われるようになっている、という白黒思考があり、「祝福を授かったこと」「教会を離れずにいること」を【天国行きのチケット】としてすがっているように思える。
ちなみに統一原理では、霊人体(魂)の成長は、肉身生活の善行(善なる生き方、他を愛する生き方)によって成され、肉身生活を終えた後には、それぞれの霊人体の成長に応じた霊界に行くようになると説明されている。家庭連合という組織に所属し、祝福家庭であるということによって、永遠の人生を白黒で保証してくれるものではない。
ところが家庭連合では統一原理とも世の良識とも異なる特異な信仰によって、家庭連合の良い点・悪い点を客観的に捉えることや、自ら考え意見を持とうとすることが妨げられ白黒思考になってしまっている食口がいる。それでは組織の中で自浄作用が働くことはないだろう。そして様々な問題点や批判を無視して「救われた喜び」だけを感じる「信仰的独りよがり」になっているのではないだろうか。
Aさんの「都度、言われることに相対し、そうなんだな、そうなんだな、とついて行けばいい。お父様もそのように言われていたはずです。」というコメントにも、自分では善悪の判断をせず「真の父母に委ねて安心」というスタンスが現れている。(ちなみにお父様は後天時代においては特に、そのような指導はされていない。)
過去に霊感商法で批判を受けたときにも、組織を転換するチャンスだったように思うが、白黒思考のせいで、機会をことごとく捨ててきてしまった。主張するべきことは主張するとしても、反省すべきところは大いに反省し、在り方を変化させてこなければならなかった。(やり方を変えることでの一時しのぎではなく)
家庭連合が開いた記者会見での説明や態度に違和感を覚える人が、現役信者の中でも多い。それは彼らが一旦は謝罪の言葉を述べながらも、根底では白黒思考を持っているからだろう。自分たちは正しく神の御旨を歩む「善」の立場であり、神に従わない「悪」なる社会から「迫害」を受けているという意識を持っているからではないだろうか。ゆえに本当の意味では反省をしておらず、端々にそれが出てしまうのだろう。
家庭連合の現役会員の方々には、本当にそれが統一原理に則った考え方や態度であるかを考えていただきたい。対象あっての主体であり、対象が喜んでこそ、愛は愛と呼べる。
(つづく)
天宙史的葛藤について、より深く真実を知りたい方は、以下の動画を御覧ください。(概要欄の目次のリンクをクリックすると途中から見ることもできます)
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